生活記録ノート

備忘録として

点分業薬局 (門前薬局) と面分業薬局を比べました【消費者視点】

Mizianitka による Pixabay からの画像

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日本では、医薬分業の理念に基づき、薬の処方を行う者と調剤を行う者とが原則独立しています。このうち、「調剤を行う者」とは調剤薬局を指し、その立地の特性から、調剤薬局はさらに 2 種類に分類されます。

門前薬局

病院の近くで営業している調剤薬局のこと。 (中略)

病院と調剤薬局が点と点で結ばれているという意味で「点分業」という場合もある。

面分業

門前薬局とは違い、病院の近くというよりも生活圏に立地するドラッグストアやコンビニエンスストアなどが調剤薬局を併設し、複数の病院の処方せんに対応する分業の方法。複数の病院の処方せんを面で受け取るという意味で「面分業」と呼ばれる。

このうち、前者を「点分業薬局」、後者を「面分業薬局」としたとき、多くの方々は点分業薬局のお世話になっているのではないでしょうか。事実、私を除き、私の家族は全員が点分業薬局派です。

一方、私は面分業薬局派です。しかし、最近では面分業薬局の短所が見えてしまうこともあり、せっかくなので、私の感じた両者の長所と短所を書き留めておこうと思った次第です。そもそも医薬分業の長所と短所を把握したい方は、ウィキペディアの記事もご覧ください。

なお、以下は傾向を表現したものに過ぎず、当然ながらその例外は存在します。

点分業薬局 (門前薬局)

【👍🏻 長所】立地がよい: その名の通り、病院や診療所のすぐ近く *1 に立地しています。依存関係にある病院や診療所の診察時間に合わせて営業していることも多いので、緊急時には頼れる存在です。
【👍🏻 長所】在庫切れに遭遇しにくい: 点分業薬局が受け取る処方箋は、当然ながら依存関係にある病院や診療所によるものがほとんどであるため、需要予測や在庫管理が容易です。
【👍🏻 長所】料金が安い: 面分業薬局には調剤基本料1 (42 点) が適用されることが多い一方、点分業薬局には調剤基本料2 (26 点) または調剤基本料3 (21 点 / 16点) が適用されることが多い *2 です。なお、患者の負担金額は、点数に負担割合 (例. 3 割) を乗じ、一の位を四捨五入したものです。

【短所 👎🏻】医薬分業の意味がない: 病院や診療所との間に資本関係はないとしても、彼らが一蓮托生であることは火を見るより明らかです。昔、耳鼻科から処方された大量の薬の必要性についてある点分業薬局に質問をしたところ、「それは先生が決めることなので」というご回答をいただいたことがあります。じゃあお前いらないよね。私が面分業薬局派になった要因は、ここにあります。
【短所 👎🏻】サービスのアップデートが極端に遅い: 競争原理の働きにくい領域が往々にして腐敗することは、医療の分野に限った話ではありません。その上、接客業従事者としての質は、なかなか低い部類にあるように見受けられます。
【短所 👎🏻】服薬管理が難しい: 複数の点分業薬局を利用する方が飲み合わせを確認してもらうためには、お薬手帳を提示する必要があります。最近では電子お薬手帳が普及しつつありますが、薬剤師が電子お薬手帳の記録を確認するためには、患者がワンタイムコードをその都度提示する必要があります。私は今まで、一度たりともワンタイムコードの提示を求められたことがありません。つまり、電子お薬手帳の場合、薬剤師は他の薬局で調剤された薬をいちいち確認していないことが多いということ。

面分業薬局

【👍🏻 長所】医薬分業の理念を実現している: 面分業薬局は、カジュアルに疑義照会をしてくれますし、誤りや不適切な処方があれば修正してくれます。そもそも医師は薬の専門家ではないので、疑義照会は発生して当然。
【👍🏻 長所】最新のサービスを受けられる: アプリを用いた処方箋の送信や電子決済にもしっかり対応している上、ポイントが付与されるなど独自の施策が行われている場合も。
【👍🏻 長所】服薬管理が容易: 複数の病院や診療所を利用する方は、かかりつけ薬局を一つ決めることにより、お薬手帳を提示するまでもなく飲み合わせを確認してもらうことができます *3

【短所 👎🏻】薬剤師の方の交代が頻繁である: 馴染みの薬剤師がいなくなってしまうことは、よくあります。気持ちの問題だけど。
【短所 👎🏻】在庫切れに遭遇しやすい: 面分業薬局は数多くの病院や診療所による処方箋を受け取るため、需要予測や在庫管理が非常に困難です。このため、かなりの確率で在庫切れに遭遇することに。しかし、ドラッグ・ストアなどに併設された面分業薬局であれば買い物ついでに不足分を取りに行くことができますし、自宅まで配送 (0 円~数百円) してもらえることもあります。
【短所 👎🏻】料金が高い: 上記の長所を踏まえれば、安心料として適正な範囲内だと思います。お金で健康を買う一つの方法です。

参考文献

  1. 日経BP (2010)「医薬分業率6割超時代の「面分業率」は?」, <https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/recept/201009/516496.html> 2020年12月5日閲覧
  2. 日本調剤 (2020)「よく見てみよう! 薬局の「お会計」」, <https://www.nicho.co.jp/column/18666/> 2020年12月5日閲覧
  3. CTCグループ健康保険組合 (2020)「医療費通知の自己負担額と窓口で支払った金額に1円単位の違いがあります」, <http://www.ctcg-kenpo.or.jp/asp/faq/faq.asp?articleid=5905> 2020年12月5日閲覧

*1:敷地内薬局は、どちらにも属しません。

*2:敷地内薬局には、特別調剤基本料 (9 点) が適用されます。

*3:すなわちお薬手帳は不要である、ということではありません。お薬手帳を提示すれば薬剤服用歴管理指導料が下がる (57 点 → 43 点) のみならず、緊急時に適切な対処を期待できます。

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